クーロン黒沢のおもしろ沖縄探検記

夕暮れのレストランで昭和を懐かしむ【シーサイド・ドライブイン】


沖縄本島中部に位置する恩納村。沖縄を南北に貫通する国道58号から、海沿いの県道6号線を折れ、少し行ったところに、どこか懐かしいレトロなレストラン「シーサイド・ドライブイン」がある。


ドライブインとは、大型駐車場を完備した飲食店のこと。私が子供の頃(1970年代)は日本中至るところに存在したが、今ではもう、山奥の廃墟で朽ちかけた看板を見ることのほうが多い。

1967年開業の「シーサイド・ドライブイン」は。何を隠そう沖縄最古のドライブインにして未だ現役。国道から一本外れた微妙な立地ながら現在もなお大賑わい。県外からも多くの人がやってくる。



砂浜に面しただだっ広い駐車場。そこにぽつんと建つくすんだ箱型の建物。ギラギラ輝く古びたネオン。そこだけ切り取ったらアメリカのような景色。実際、開店当初はアメリカ人客ばかりだったそうな。

日差しが和らぐ夕方になると、どこからともなく集まってきた車で駐車場はいっぱいになる。

真っ赤に染まった海を前に、テイクアウトしたハンバーガー片手に頭を空っぽにして水平線を眺めていると、無国籍映画の登場人物にでもなったような、そんな不思議な気分にもなる。



宵っ張りの土地柄らしく、レストランは24時間営業、ディナータイムは地元の家族連れで海側の席はほぼ満席となる。

店のジュークボックスはしっかりと稼働中。クイーンやらABBAやら庄野真代やら、節操のないレパートリーに驚愕していると、目の覚めるようなギンガムチェックのテーブルクロスに、注文した牛テール肉の煮込み料理がストンと置かれた。肉はトロトロ、名物のスープはこれだけで満足できそうなほど濃厚だった。


店内の様子をぼんやり眺めていると、小学生の頃、東京のはずれで親戚が営んでいたドライブインで、家族揃って食事をしたときの記憶が鮮明に蘇った。この店の活気は、まさしくあの時代そのものだ。



駐車場に面したテイクアウトカウンターでも、おばちゃんが手際よく、途切れることのない客をさばき続けている。


こちらはハンバーガーやサンドイッチ、ポテトなどの持ち帰りメニュー専門。後で小腹が空いたときに食べようかと、ハンバーガーとスープを買うと、ビニールに包まれたハンバーガーは湿気でバンズがフニャフニャ。昔、母親が買ってくれた自販機のハンバーガーを思い出し、胸の奥がジーンと熱くなった。



もともと「知る人ぞ知る」存在だったこの店も、数年前、NHKの「ドキュメント72時間」で取り上げられてからは、一気に全国区の知名度を得ることになる。


実は、東京のはずれにある親戚のドライブインも、まだ細々と営業を続けている。建物は煤け果て、雑草は伸び放題。うっかりするとレザーフェイスが飛び出してきそうなバケモノ屋敷と化してしまい、家族連れは寄り付かなくなってしまった。

ゾンビのような足取りで存続に貢献するのは、1960年代から通い続ける常連(の生き残り)たち、そんな店だからNHKは取材に来ないし、今後取材されることもないだろう。



シーサイド・ドライブイン
沖縄県国頭郡恩納村仲泊885